AGA治療には副作用はないのでしょうか?髪は増やしたいけれど、健康を損なうのは困ります。
実は、日本皮膚科学会のガイドラインでも推奨される治療薬の安全性は高いのです。ただし、副作用は「ゼロ」ではないため、こちらでは、AGA治療薬の副作用の確率と対処法を紹介します。
ネットなどの噂(都市伝説)と、医学的な事実を分けて紹介しますので、ぜひご確認ください。
【成分別】AGA治療薬の副作用と発生確率のデータ

AGA治療を検討する際、最も気になるのが「実際にどのくらいの確率で副作用が起きるのか」という点です。
日本皮膚科学会のガイドラインや臨床試験データに基づき、主要な成分ごとの副作用を詳しく解説します。
❶ フィナステリド・デュタステリド(内服薬)

これらは「守りの薬」と呼ばれ、抜け毛を抑制する効果があります。最も懸念されるのは男性機能への影響ですが、データで見るとその確率は決して高くありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な副作用 | リビドー減退(性欲減退)、勃起機能不全(ED)、射精障害、肝機能障害など。 |
| 発生確率 | フィナステリド: 国内の臨床試験において、48週間の服用で副作用が認められたのは約1.1%(276例中3例)でした。内訳はリビドー減退(1.1%)などです。 デュタステリド: フィナステリドよりも効果が強い分、副作用の頻度もわずかに高く、国際共同試験において約10.9%との報告がありますが、その多くは軽度で、服用を続けるうちに改善するケースも多く見られます。 |
| アドバイス | 肝機能障害のリスク(頻度不明)もあるため、健康診断の結果を医師に共有し、定期的な血液検査を受けることでリスクを最小限に抑えられます。 |
❷ ミノキシジル外用薬(塗り薬)

「攻めの薬」として発毛を促進するミノキシジルは、頭皮に直接塗布するため、全身への影響よりも皮膚トラブルが主となります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な副作用 | 塗布部位の痒み、紅斑(赤み)、かぶれ、毛包炎、接触皮膚炎 |
| 発生確率 | 5%ミノキシジル液を用いた国内臨床試験では、約8%前後に何らかの皮膚症状が見られました。 特に「痒み」は、薬液に含まれる成分(プロピレングリコールなど)への反応である場合が多く、アルコールフリーの製剤やフォームタイプに変更することで改善可能です。 |
| 初期脱毛について | 使い始めの1〜2ヶ月に一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」が起こることがあります。これは副作用ではなく、新しい毛が古い毛を押し出している「効果の兆し」ですので、自己判断で中止しないことが重要です。 |
❸ ミノキシジル内服薬(ミノタブ)

国内ではAGA治療薬として承認されていませんが、一部のクリニックで処方されることがあります。効果が高い反面、副作用にはより慎重な注意が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な副作用 | 動悸、息切れ、むくみ、多毛症(全身の毛が濃くなる)、低血圧など |
| リスクの実態 | 元々は降圧剤として開発された薬であるため、循環器系への負担がかかる可能性があります。 |
| アドバイス | ミノタブを検討する場合は、循環器系の既往歴を必ず医師に伝え、副作用が出た際のサポート体制が万全なクリニックを選ぶことが必須条件となります。 |
SNSで噂の「性欲減退」「うつ」の真実を紐解く

Xや掲示板などで「AGA治療を始めたら性欲がなくなった」「気分が落ち込むようになった」という書き込みを見て、治療を躊躇している方も多いのではないでしょうか。
しかし、医学的な臨床データを見ると、ネット上の噂と実際のリスクには大きな乖離があることがわかります。
❶ 性機能低下の正体とノーシーボ効果

フィナステリドなどの服用により性欲減退やEDが起こる可能性はゼロではありませんが、臨床試験では興味深い結果が出ています。
- 臨床データの真実: 日本国内の臨床試験(48週間)において、フィナステリドを服用したグループで性機能不全が現れたのはわずか1.1%でした。
- 「思い込み」の影響: 非常に重要な点として、偽薬(有効成分が入っていない薬)を飲んだグループでも、ほぼ同等の割合で性機能不全を訴える人が現れることが確認されています。
これを「ノーシーボ効果」と呼びます。副作用への強い不安やストレス自体が、自律神経を介して性機能に影響を与えているケースが少なくないのです。
❷ うつ・気分障害とAGA治療の因果関係

一部で囁かれる「メンタルへの悪影響」についても、現時点で明確な因果関係は証明されていません。
- 医学的見解: 日本皮膚科学会のガイドラインを含む主要な研究報告において、AGA治療薬が直接的に「うつ」を誘発するという確かな証拠は認められていません。
- QOL(生活の質)との相関: むしろ、薄毛に悩むこと自体が自尊心を低下させ、メンタルに悪影響を及ぼしているケースが多く報告されています。適切な治療によって髪の状態が改善することで、自信を取り戻し、精神的に前向きになる方の方が圧倒的に多いのが実情です。
❸ ポストフィナステリド症候群(PFS)への懸念について

「薬をやめた後も副作用が続く」という噂(PFS)についても因果関係は確立されていません。
- 現状の評価: 世界的に議論はあるものの、依然として医学的な因果関係は確立されていません。
多くの場合、医師の指導のもとで適切に減薬・休薬を行えば、薬の成分が体外へ排出されるとともに症状は回復します。 - 慎重派への回答: ネット上の極端な体験談は、氷山の一角である可能性が高いです。
一人で悩まずに、専門医による定期的な診察を受けることで、心理的な安心感が得られ、副作用のリスクを大幅に下げることができます。
慎重派の方こそ知っておくべき副作用のリスクを最小化する4ステップ

リスクをゼロにはできなくても、コントロールすることはできます。
これがAGA治療の正しい向き合い方です。以下の4つのステップを守ることで、副作用による後悔を防ぐことができます。
血液検査を必須としているクリニックを選ぶ
AGA治療薬、特に内服薬(フィナステリド等)は肝臓で代謝されるため、稀に肝機能に負担をかけることがあります。
- なぜ血液検査か: 自覚症状が出る前の「数値の変化」を捉えるためです。
- チェックポイント: 投与前だけでなく、半年〜1年に1回の定期的な血液検査を推奨しているクリニックを選びましょう。健康診断の結果を持参しても対応してくれる医師は信頼がおけます。
個人輸入(通販)を絶対に避け、国内正規品を使用する
安価な個人輸入薬は、慎重派の方にとって最大の「高リスク」要因です。
- 偽造薬のリスク: ネット通販で流通している個人輸入薬の中には、有効成分が入っていない、あるいは不純物が混入している偽造薬が混在しているとの報告があります。
- 救済制度の有無: 医療機関で処方された国内正規品であれば、万が一重篤な副作用が出た際に「医薬品副作用被害救済制度」を受けられる可能性がありますが、個人輸入はすべて自己責任となります。
医師に「将来の設計」と「既往歴」をすべて開示する
診察時のカウンセリングは、単なる手続きではなく「安全装置」です。
- 妊活・子作り: 近い将来に妊活の予定がある場合は、必ず伝えましょう。薬の切り替え時期や休薬期間について、医師が専門的なスケジュールを提案してくれます。
- 持病の共有: 過去に薬でアレルギーが出た経験や、現在服用中のサプリメント・持病(特に心臓や肝臓)を伝えることで、ミノキシジルの濃度調整など、体質に合わせた処方が可能になります。
初期脱毛を副作用と勘違いして中止しない
治療開始から2週間〜1ヶ月頃に一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」が起こることがあります。
- メカニズム: これは薬が効き始め、休止期にあった毛包が新しい髪を押し出している「ポジティブな反応」です。
- 注意点: これを「副作用でハゲが悪化した」と勘違いして自己判断で薬をやめてしまうと、治療効果が得られないばかりか、かえって毛周期を乱す原因になります。不安な時はすぐに医師に相談し、継続の判断を仰ぎましょう。
もし副作用を感じたら?後悔しないための「3つの出口戦略」

「副作用が出たら一生治らないのでは?」と不安に思う必要はありません。AGA治療は、医師の管理下であれば非常に柔軟にコントロール可能です。万が一、体調や機能に違和感を覚えた際の具体的な「出口(対策)」を解説します。
戦略1:まずは「休薬・減薬」によるリバーシブルな回復
AGA治療薬の多くは、服用を中止することで成分が体外へ排出され、副作用も消失する「可逆的(リバーシブル)」な性質を持っています。
- 具体的な対応: 違和感を感じた時点で医師に相談し、数日間休薬するか、1日の服用量を減らす調整を行います。
- 安心のポイント: 性機能不全などの症状も、ほとんどの場合、休薬によって正常な状態に戻ることが臨床データでも示されています。自己判断でパニックにならず、まずは「量を調整すれば元に戻る」ことを知っておきましょう。
戦略2:成分の切り替えや「内服から外用」への変更
特定の成分が体に合わない場合でも、治療自体を諦める必要はありません。
- 具体的な対応: 例えば「フィナステリドで胃腸に違和感が出た」という場合、より体質に合う可能性のある「デュタステリド」へ変更したり、飲み薬を止めて「ミノキシジル外用薬(塗り薬)」のみに切り替えて様子を見るという選択肢があります。
- 安心のポイント: 治療の「攻め方」を変えることで、副作用を回避しながら発毛効果を維持するルートはいくつも用意されています。
戦略3:専門医によるオンライン診療・カウンセリングの即時活用
「これは副作用なのか、それとも疲れやストレスなのか」という悩みに対し、すぐに専門家の判断を仰ぐことが最大の防御です。
- 具体的な対応: 副作用フォローの手厚いクリニックでは、再診料を無料にしていたり、スマホひとつですぐに医師と話せるオンライン診療体制を整えています。
- 安心のポイント: 慎重派の方が陥りやすい「不安による精神的な不調(ノーシーボ効果)」も、医師に「問題ない」と診断されるだけで解消されるケースが多々あります。一人で抱え込まず、プロのサポートラインを使い倒すことが、後悔しないための鉄則です。
副作用フォローが手厚いクリニックの選び方4つのポイント

単に「安いから」という理由だけで選ぶと、体調に異変を感じた際に「相談しづらい」「追加費用がかかる」といったリスクが生じます。以下の4項目を備えているか確認しましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 初期検査(血液検査)の有無 | 投与前の肝機能数値を把握しているか。副作用リスクを客観的な数値で管理する姿勢があるかを確認します。 |
| 副作用発生時の再診・相談料 | 「少し違和感がある」程度の時に、無料で即座に医師に相談できる環境があるかは非常に重要です。 |
| オンライン診療の即時性 | 副作用が不安になった時、予約なしや当日予約ですぐにスマホ診察を受けられる体制があるか。 |
| 全額返金保証制度の有無 | 万が一、副作用で治療が継続できなくなった場合に、未開封分の薬代や初期費用を保証してくれる制度は、慎重派にとって最大の安心材料になります。 |
副作用を恐れて「手遅れ」になるのが最大のリスク
ここまでAGA治療の副作用について、具体的な確率や対処法を詳しく見てきました。最後に、最も伝えておきたいポイントを3点にまとめます。
1. 副作用の確率は極めて低く、コントロールが可能
医学的な臨床データが示す通り、主要な副作用の発生頻度は1%〜5%程度です。
また、万が一違和感が生じても、医師の適切な指導のもとで減薬や休薬を行えば、多くの場合症状は回復します。副作用は「一生残る呪い」ではなく、「適切に管理できる体からのサイン」なのです。
2. 「ネットの噂」よりも「自分の体質」を知ることが先決
SNSにある匿名性の高い極端な体験談は、必ずしもあなたに当てはまるわけではありません。
むしろ、副作用を恐れるあまり「ノーシーボ効果(心理的要因)」を引き起こしてしまうことの方が、リスクと言えるかもしれません。
まずは血液検査や専門医による診察を受け、「自分の健康状態ならどの治療が安全か」を客観的に判断してもらうことが、最大のリスクヘッジになります。
3. AGA治療において最大の損失は「放置」すること
AGA(男性型脱毛症)は進行性の疾患です。
副作用を恐れて何もしないでいる間にも、薄毛は確実に進み、毛包(髪を作る組織)は徐々に寿命を迎えていきます。
一度失われた毛包を復活させるのは非常に難しく、「もっと早く始めておけばよかった」という後悔こそが、治療における最大のリスクです。
【この記事で参考にした資料】
- 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
公益社団法人日本皮膚科学会 - ミノキシジルの発毛作用について
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J. Jimenez-Cauhe, D. Saceda-Corralo, A. Hermosa-Gelbard, M. Dominguez-Santas, D. Buendia-Castaño, S. Vaño-Galvan - Spray vs dropper for minoxidil – is there a difference?
Yoram Harth, MD | Jan 19, 2025,MDhair - Minoxidil and its use in hair disorders: a review
Drug Des Devel Ther. 2019 Aug 9 - Compliance to Topical Minoxidil and Reasons for Discontinuation among Patients with Androgenetic Alopecia
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